第4章 七海健人 覚悟
七海side
『びやく‥?を飲まないと出られない部屋‥?びやくってなんだろうね‥?』
小首を傾げるさんの後ろで頭を抱える
無機質な部屋の中には机とベッドだけがある
その机の上には怪しい色の液体が入った小瓶がたくさん置いてあった
「はぁ‥あなたの事だから‥そんな事だろうとは思ってましたが‥‥」
『七海くんは知ってるの?!なんのお薬‥?』
真剣な顔をしてごくりと唾を呑む
媚薬も知らないようなピュアの塊
こんな人に媚薬なんか飲ませられる訳がない
「あなたは下がっててください、一度ドアを壊せないか試してみますが‥無理なら私が全て飲み干します」
『それはダメだよっ‥!こんな沢山あるのに七海くん1人に飲ませるわけにはいかないから私も飲む!』
さんを部屋の隅に移動させて
ありったけの力でドアを破壊しようと試みたけれどビクともしなかった
『もうやめとこうっ‥ね‥七海くん?』
何度も力ずくでドアを壊そうとする私の腕をギュッと掴みにくる
「はぁ‥確かにこれでは埒があきません‥飲むしかないようなので、あなたは出来るだけ私から離れていてください」
『それなら私もっ‥』
「ダメです。ほら、早く向こうに行ってて下さい。」
『でもっ‥‥』
ぷっくりと可愛らしいほっぺを膨らませて不服そうに抗議してくるさんを出来るだけ部屋の隅へと追いやって
目の前に並ぶ媚薬の瓶を一気に口の中へ流し込む
「‥‥」
くらりとする程の甘さと同時にどくりと心臓が跳ねるような疼き
『大丈夫‥‥?』
「大丈夫ですから近付かないで下さい‥‥これはあなたの為でもあるんですから」
2本、3本と次々に飲み干していくと身体が発熱したように熱くなって
立っているのも辛くなってきた
机の上に残っている瓶を掻き集めて
口の中へと流し込む
「はーっ‥‥クソ‥‥」
鼓膜が心臓の音で震えているかと錯覚する程上がる心拍
血が沸き立つような
おかしくなる程の疼き
さんの事を
めちゃくちゃに抱いてしまいたい欲望に駆られて目を閉じる