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リクエスト 裏短編集♡

第1章 夏油傑 奪ってでも欲しいもの


夏油side




「では‥そういうことで頼みます」




話し合いが終わって早々と立ち上がる



「おや‥今日は何か急いでいるのかい?」



「えぇ‥少し人を待たせていまして」



「それは失礼‥君のそんな表情初めてみたよ‥きっと大事な人なんだろうね」



にっこりと微笑んだ会長



そんな事は初めて言われた
無意識に顔が緩んでいたのだろうか




早くの元へ向かいたくて返事もせずに深く頭を下げて部屋を出る



初めて重ね合わせた唇の感触

柔らかな肌の感覚


思い出すだけで
疼いたままの熱い身体がさらに体温を上げる








「‥」






襖を開くとそこには誰もいなかった





「逃げた‥‥か」








手に入れたと思って油断していたのか
あのまま部屋に置いて行ったことを後悔した




どこかでが私から逃げるはずもないとたかを括っていたのかもしれない


こんなにも愛しているのに
もう手遅れだというように私の前から姿を消した



「愛ってのは厄介だね‥」



あの日捨てたはずの感情に激しく心が揺さぶられる




「夏油様すみません‥っ‥外にでた形跡がありました‥‥」




「そうか‥」




嫌な胸の奥の痛みをごくりとのみこむように
大きく息を吸った




「わかった‥すぐに連れ戻してくるよ」




の足で逃げられる距離はそんなに遠くないはずだ




身を隠しながらも
外部と連絡をとれるところ‥




きっと公衆電話を探しているに違いない




呪霊をだして気配を辿るとあっけない程すぐに見つかった






屋敷から少し離れた場所
さびれた公衆電話の中に見える小さな背中




「悟と連絡はとれたかい?」




扉を開くとビクッと肩が跳ねる





『傑っ‥』




両手で握りしめていた受話器が項垂れるように下に落ちる





「おいっ‥!!っ!無事なんだろうなっ?!怪我は?!何された‥場所はどこだっ?!」





受話器から聞こえてくるのはかつての親友の叫び声にも似た大きな声




「悪いね悟‥は私のものにさせてもらうよ」




受話器の向こうで息を呑む音が聞こえたと同時にガチャリと電話を切った
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