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リクエスト 裏短編集♡

第3章 両面宿難 終わらない続き


伏黒side





「っ!やめろ‥‥やめろっ‥!!」




『〜っ?!』





大声を出した時には既に遅く
虎杖がばくりと呪物を呑み込んだ




どくん
どくんと心臓が嫌な音を立てる




特級呪物の宿難の指は猛毒で
普通の人間なら確実に死ぬ




それでも




万が一




最悪の万が一がでたら





回らない頭でも想像できるほどの最悪の光景が





今まさに目の前に広がろうとしていた




天に掲げるように挙げられた手には紋様


何もかも切り裂いてしまいそうな黒くて長い爪



飛び散る呪霊の血潮と肉片






さっきまでの虎杖とは確実に違う気配に背筋が凍りつく





「ふっ‥‥ふはっ‥ふははははっ‥」





高らかに響く笑い声





その向こうにはまた意識を失ってしまったのかぐったりと地面に伏せているさんの姿




「助けろ‥助けろ‥俺の身体‥うご‥けっ‥‥」





コンクリートに打ち付けられた全身と頭がズキズキと痛んで耳鳴りがする





あれが
さっきまでの虎杖じゃなければ





万が一
両面宿儺であれば





さんの命なんていとも簡単に奪われてしまう






息もうまく出来ないほど呼吸が乱れて思考までぐちゃぐちゃに乱れ始める




そんな俺を嘲笑うかのように


どんよりと曇っていた空の雲が引いていって
月明かりが目の前の虎杖の身体を照らす





引き裂かれた衣服


全身に浮かび上がる紋様




最悪だ‥





最悪の万が一








特級呪物が受肉しやがった






「呪霊の肉などつまらん!人は?女はどこだ?」




低く太い声



屋上の淵に立ち下界を見渡すように手を広げる




そして気配を感じ取ったのか後ろに倒れていたさんの方を振り返る





「ん‥?なんだ‥そこにちょうどいい女がいるじゃないか」





「ーっ!!」



ずかずかと歩み寄ると倒れていた身体をさっと抱き上げて
顔をじっと見つめたあとニヤリと笑う







「気に入った‥この小娘は俺の女にしよう」





「は‥?」






宿難が抱き上げたさんの身体からポタポタとこぼれ落ちていた血がぴたりと止まった

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