第3章 両面宿難 終わらない続き
伏黒side
「ここにいろ」
『ここは私達に任せて‥先輩達の事は命をかけてでも守るから!』
ついてこようとする虎杖を背に校内へ駆けていく
「そんな簡単に命かけないでくださいっていつも言ってますよね‥っ」
『恵くんもだよ!絶対にみんなで帰るよ!』
「俺はあなたが無事だったら‥っ?!」
『急ごうっ!』
感じた事の無いようなめちゃくちゃな気配
呪いが放たれたのを感じて走るスピードをあげる
「さんは俺の後ろにっ!救助者を見つけたら頼みます!」
『ありがとうっ!でも私も戦えるからね!』
ポケットに忍ばせていた細くて長い刀のような呪具を伸ばして俺の後ろへ回る
次の瞬間
ギョロギョロと大きな目を複数持った呪霊が現れた
「邪魔だ!!玉犬っ!」
漆黒の影の中から白と黒
長い尻尾をするりと甘えるようにさんに擦り付けてから遠吠えをする
『ありがとうっ‥宜しくね‥!』
小さな手が毛並みのいい身体を撫でると嬉しそうに目を細める
男だけじゃなく
女や動物
呪いにまで好かれるさんに玉犬達ももれなく懐いている
「喰っていいぞ」
紫の血液のようなものを飛び散らせながら呪霊に喰らい付いて散らしていく
『呪いの数が増えてきたねっ‥』
「近いな‥さんは何かあったら俺なんか放って逃げてくださいよ‥」
呪いからさんを守るように玉犬達が先陣を切る
『〜っ!あ‥あれっ‥!』
笑い声のような不快な声を漏らしながら
2人の生徒達を取り込もうとする呪霊の姿
「見つけた‥っ」
後ろから駆け出そうとするさんを右手で制する
『私がっ‥』
「人間ごと呪物を取り込む気だ!間に合わない!」
『そんなっ‥』
呪霊に沈んでいく生徒達の身体
それを見つめる俺たちを見て大きな目がいやらしく細められた時だった
『虎杖くんっ?!』
「虎杖っ!?」
窓ガラスが突然割れたかと思うと外で待っていたはずの虎杖が飛び込んできて
上から拳を振り下ろした