第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
バタン!!
突然大きな音がしたかと思うと五条先生がふわふわのソファに倒れてしまう
『五条せ‥五条様っ?!』
抱きしめてくれていた身体をそっと離してソファに座らせてくれると
ぐったりと倒れ込んだ五条先生の身体を担ぎ上げた
「この人お酒飲んだんですか?全く手のかかる‥」
すーすーと聞こえてくる寝息
みると顔を真っ赤にしてただ眠っているだけのようだった
「さんが可愛いのは分かりますが一体いくら注ぎ込んだのか‥」
そう言うと片手で残りのシャンパンを次々に飲み干していった
五条先生がお酒に弱くて
七海さんはとっても強いって言うのは聞いた事があったけど
ここまでだったんだと驚いた
「あとから請求しますから覚えていてくださいね」
領収書を五条先生のスーツの胸ポケットにしまうと
七海さんが少ししゃがんで私の耳元でこそっと呟いた
「ターゲットと接触したようですね‥お疲れ様です。そろそろ閉店時間のようなので、乙骨くんと無事に帰ってください。よく頑張りましたね」
低い声が耳に響いて
優しく目を細める
大きな手がそっと頭をぽんぽんと撫でると
そのまま帰って行ってしまった
「なんだかすごいお客様達でしたね‥‥それにしてもさん!乙骨くん!今日は本当にお疲れ様でした!この店がオープンしてから、歴代一位の売り上げを叩き出す事ができました」
「そうそう!さん指名が凄すぎましたね!普段あまりシャンパン頼まれない方までも沢山高級シャンパン開けてくださって‥売上すっごいですよ!」
気付けばお店が閉まっていて
たくさんの黒服さん達やお姉さん達が労いに来てくれていた
優しくってあったかい
素敵な人たちだった
「ねぇ〜本当に今日だけなの?!ずっといて欲しいよ〜」
そんな事を言ってお姉さん達がみんな抱きしめてくれる
こんな素敵な人達を騙してしまったのはとても心苦しいけれど
なんとか乗り切った達成感
聞き出したかった情報も全部聞き出せて任務は成功
うとうととまどろんでいた思考がもう途切れてしまいそうだった
「あれ‥寝ちゃった?疲れたんだね‥指名すごかったもんね」