第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
五条先生がギュッと私を抱きしめて
何度も繰り返されるキスから逃げられない
とってもお酒に弱いって聞いた事があるから
多分先生もお酒に酔って正常な精神状態じゃないのかもしれない
どうしようかと思っていると部屋の扉が勢いよく開いて
今度こそ乙骨くんが現れた
私と五条先生を交互に見て
スッと目が細められた
これは
とっても怒っている時の顔だ
五条先生を静かに見据える姿に心臓がドキドキとして
2人を止めようと思うけど身体に力が入らなくて立ち上がる事も出来ない
「乙骨さん?!どうしました?!」
バチバチと火花を散らす2人の空気を感じ取って他の黒服さん達が慌ててやってきた
どうしよう‥なんて説明したら‥
『あっ‥あのっ‥大丈夫なので心配しないでくださいっ‥』
なんとか説明しようとするけれどぼんやりと思考能力の弱った頭ではいい説明が思い浮かばない
「をかけて真剣勝負しようか?可愛い生徒のためなら受けて立つよ?」
「お‥お客様?!」
「真剣勝負‥‥負けません」
「乙骨さん?!」
周りの人の言葉なんか何も聞こえてないみたいに
五条先生が立ち上がって
乙骨くんの前まで少しふらふらとしながら歩いていって
正面から睨み合う
『ま‥待ってくださいっ‥』
このままだと2人が喧嘩してしまうかもしれない
焦って急に立ち上がるけれどすっかり力が抜けてしまった足ががくりと曲がって前に倒れてしまいそうになる
「ちゃんっ‥!」
「っ?!」
2人が手を伸ばしてくれるより早く
誰かの胸にしっかりと抱き止められた
『な‥七海さんっ?!どうしてここに‥?』
「そこにいる仕事を途中で放り出した大人を探しにきました‥全く本当に困った人だ‥‥それよりさんは怪我はありませんか?」
『何ともありません‥私がぶつかっちゃったので七海さんこそ大丈夫ですか?』
抱き止められた腕の中七海さんの顔を見上げると柔らかな笑顔で優しく微笑みかけてくれる
「こんな可愛い女性が胸に飛び込んできてくれたくらいで怪我なんかしませんよ」