第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
『大丈夫ですっ‥初めてのお店なので迷っちゃって‥すみません』
「そんなとこだろうと思った、おいで」
そう言うとまたVIPルームの中へ連れ戻されて
殆ど飲み干していた私のグラスの中にまたドリンクを注がれる
『すみませんっ‥自分で注ぎますっ‥』
「いいのいいの‥ちゃんってなんか抜けてるって言うか天然じゃん?可愛がりたくなるんだよ」
そう言うとサッとグラスを差し出されるから受け取って口に運ぶ
『すみません‥頂きます』
こくりと液体を飲み込んだと同時に男の人の口角がニヤリと上がった
身体が急にぽかぽかと熱くなる
『‥っ?』
「ごめんごめん‥間違えたみたいだ‥」
身体がとっても熱くなると同時に
なぜかぐったりと身体から力が抜けて
男の人の身体に寄りかかってしまう
「僕のお酒渡しちゃったねぇ‥大丈夫?」
寄りかかった身体に腕が回されて
掌がゆっくりと上に上がってくる
咄嗟に距離を取ろうとしても強く抱き寄せられた身体はぴくりとも動かなかった
「アルコールに耐性ないの?一口だけでそんな顔真っ赤にして‥目もとろんとさせてさ‥襲ってくださいって言っているようにしか見えないよ?」
『っ‥』
耳元で話す吐息はアルコールの香りがする
それだけでまたくらりと目眩がしそうだった
逃げたいのに逃げられない
黒服の人に助けを呼ぼうとしたけど他の人と何か話していて私達の様子に気付いていなかった
「おっきいね〜‥それに柔らかい‥」
『やっ‥やめてください‥っ』
腰を触っていた手がゆっくりと胸を包み込む
「直に触ったら気持ちいいだろうな‥‥真っ白で綺麗だし‥‥全部見せてほしいな‥‥この後ホテルいいよね?」
『ゃっ‥』
「可愛い声もっと聞きたいな‥‥」
わざと耳に触れるくらいの距離で小声で話すから変な声が出てしまう
逃げられない
怖い
そう思ってギュッと目を瞑った時に部屋の扉が勢いよく開かれた
『乙骨くんっ?!』
「ざんね〜ん‥僕でした」
そこに現れたのは乙骨くんじゃなくて五条先生だった