第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
『ご‥ごめんなさいっ‥‥お酒弱くて‥飲んだら楽しくお話し出来なくなっちゃうかもで‥‥』
未成年ということはもちろん
お酒だけは絶対に飲んだらダメだよと学長さんからも乙骨くんからも厳しく言われていたから
どうにか断ろうとするけど
さっきまでのお客様達とは違ってなかなか引いてくれなかった
「何のみたい?ちゃんの為ならどのシャンパンでも入れてあげるよ?」
腰に回された手がやわやわとお洋服越しに肌を撫でるから顔が熱くなってきてしまう
お酒は飲めないけど
情報を聞き出す為になんとかしてこの人にも酔ってもらわないといけない
どうしようかと悩んでいると諦めてくれたのかふっと優しく微笑んだ
「仕方ないか‥君の売上に貢献したいし、僕だけでもいいシャンパンのませてもらうよ」
そういうとスーツの男の人を呼んで
私が飲む分のソフトドリンクと
自分の分のシャンパンを頼んでいた
「じゃあ、乾杯」
『はいっ‥乾杯っ‥!』
飲み物がグラスに注がれて
軽く乾杯をするとぐいっとシャンパンを飲み干していく
その調子で気付けば何本かのシャンパンが開いていた
「そうそう‥それでね‥‥」
片手が腰を撫でて
もう片方の手は私の手を掴んで指を絡めとる
お酒が進むに連れて距離もさらに近くなったけど
ようやく聞きたかった話を話し始めてくれた
「ぼくのしごとのはなし‥そんなに興味あった?」
聞き出したかった情報を全て聞き出せるとターゲットも満足げにニヤリと笑う
『はいっ‥お仕事できる人かっこいいなと思って‥お話し聞けて嬉しかったです!』
もう聞きたい情報は全て聞き出せた
スーツの人に言って乙骨くんと合流したいところだった
『あの‥私、お手洗いに行ってきてもいいですか?すぐ戻りますので‥』
「どうぞ?そこにあるよ」
ようやくがっしりと掴まれた腰と指から手が離れていって
お手洗いに向かうけど肝心の黒服さんの姿が見当たらない
「迷った?」
『ひゃっ?!』
「戻ってくるの遅かったから‥大丈夫?」
乙骨くんも休憩から戻ってるかもしれないと探しに行こうとするとパッと手首を掴まれる