第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
乙骨side
「あの‥今日は宜しくお願いします」
本気でちゃんをスカウトしそうな勢いを感じて無理に会話に割り入るとようやく僕の方を見てくれた
「黒服君も宜しくね!きっとこの子いたら今日めっちゃ忙しくなると思うから頑張ってね!それで‥この後ざっと店の中案内するからちゃんはとりあえずドレスに着替えてきてくれる?」
『はいっ!行ってきます!』
仕事が出来そうな爽やかなスーツ姿
責任者なのか?
その人に挨拶をしてちゃんが店の奥へ消えて行った
その間に今日の任務をもう一度頭の中で整理する
ターゲットはこの店の常連客の1人
必ず金曜日の夜に店へやってくるらしい
呪詛師との繋がりがある疑いで
情報を少しでも聞き出せるようにちゃんがキャストとして潜り込んだ
「さっきのヘルプの子みた?すっげぇレベル高いぞ」
「みたみた!この業界でも見た事ないくらいの天然の美女だなあれは‥今日は高級シャンパンがバンバン出ちゃうな〜!」
僕と同じようにスーツを着た黒服の人達がちゃんの話題で盛り上がっている
「お!あの超可愛い子の付き人さん?今日は大変だと思うけど宜しく〜」
すれ違いざまに僕に気付いて声を掛けてくれた
「宜しくお願いします‥っ!」
「あんな可愛いとキャストさんってわかってても手出したくなるな〜」
「えっ‥はい‥いやっ‥いいえ‥」
任務に集中しようと思うのに
まだターゲットに接近もしていないのにすでに心が掻き乱されてぎこちない返事をしてしまう
「お〜噂をすれば‥ドレス姿やべぇ」
こつこつと慣れないヒールを鳴らしてこちらへ歩いてくるちゃん
周りの黒服の人や集まってきていたキャストの女性達までもハッと息を呑む
『あっ‥あのっ‥このお洋服‥私にはキツいみたいで‥』
「〜ッ」
恥ずかしそうに口ごもる姿を見て心臓が跳ね上がった
「背低いけどおっぱい大きいね〜!白くてふわふわ!確かに溢れ落ちちゃいそう」
周りにいた女性達がドレスを整えてくれているが
深く開いた胸元からは本当に胸が溢れ落ちてしまいそうだった