第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
『お待たせしましたっ‥宜しくお願いします!』
「宜しくお願いします‥!」
2人でキャリーケースを引いて校門の前まで急ぐと学長さんが新幹線の駅まで連れて行ってくれた
「くれぐれも無理しないように‥情報収集が今回の最重要任務だからな‥必要以上の事はしなくていい‥襲われそうになったり何かあったらすぐに逃げろ」
『はい!』
「高級な店だから客の品はいいはずだが‥乙骨、頼んだぞ」
「はいっ‥!僕が絶対に守ります‥!」
力強い声
初めて真希ちゃんと乙骨くんと小学校へ行った日の任務を思い出す
あの日は何もわからなくて
入ったばかりで怯えていた乙骨くんが
こんなにも頼もしくてかっこよくって
とっても頑張ったんだなぁとなんだか私まで誇らしい気持ちになってくる
「なんでさっきあんなに嬉しそうな顔してたの?」
学長さんと別れて2人で新幹線に乗り込むと
乙骨くんが不思議そうに私をみる
『えっ?そんな顔してた?恥ずかしいなぁ‥』
「ちゃんはすぐに顔に出るから」
『ええっ?!』
「何考えてたの?」
『えっとね‥かっこよくなったなぁって‥それに‥頼もしくなったなって‥色々頑張ってるところも知ってるから何だか誇らしいな〜って‥』
言いながらちょっと恥ずかしくなって顔が熱くなる
そしてふと目が合うと乙骨君も顔をパッと赤く染める
「そう言ってもらえるの嬉しいな‥」
『っ!』
他の人からは見えないような位置で
繋いだ指先が絡められる
「着くまで手‥繋いでていいかな?」
『えっ?!うんっ‥もちろんっ!おねがいします‥』
周りにはスーツ姿の人がパソコンを開いてお仕事をしていたり
家族連れの人達が楽しそうにおしゃべりしている
そんな中でギュッと手を繋いで
なんだかイケない事をしているような気分になって
今から任務なのに
心臓がドキドキとうるさくなる
「あぁ‥こんな可愛いちゃんを他の男の人に見せたくないな‥」
少し低くなる声
さらに距離が近付いて肩もピッタリと触れる
結局目的地に着くまで心臓のドキドキは収まらなかった