第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
授業の終わりを告げるチャイムがなって
軽く伸びをすると夜蛾学長さんに乙骨くんと共に呼び出された
「急で悪いが2人で九州の方へ行ってきて欲しい‥ホテルは手配してある」
「九州ですか?!」
『乙骨くんとの任務珍しいですね!それにお泊まりも初めてです!』
「それが‥本来学生がするような任務ではないんだが他に適任がいなくてな‥」
珍しく歯切れの悪い学長さんが申し訳なさそうに私をみる
「夜の仕事の潜入調査を頼みたい‥‥だから必然的に泊まりになる」
「っ?!」
乙骨くんがバッと目を見開いた
『夜のお仕事‥清掃とかでしょうか‥?』
夜のお仕事がいまいちピンとこず頭を捻ると
学長さんがさらに声を顰める
「んん‥分かりやすくいうとキャバクラだな‥‥反対したんだが‥どうにもならず‥‥向こうには酒は一切飲まさないように頼みこんである、それに乙骨‥黒服としての援護をお願いしたい」
『キャバクラ‥夜に開いているお店なんですね!分かりました!頑張ります!乙骨くん、宜しくね!』
「う‥うんっ‥絶対に守るよ‥」
「泊まりになるから荷物を纏めたらまた戻ってきてくれ‥新幹線まで送って行く」
『分かりました!宜しくお願いします!』
術式の相性によって合同任務が振り分けられるから私は棘くんと任務に行くことが多かったけれど
今回の黒服?さんのお仕事は会話が出来ないとダメみたいで
それに今夜は真希ちゃんも棘くんもみんな他の任務で寮をあけることになっていた
『じゃあ用意してくるね!』
部屋の前で乙骨くんに手を振ると急に強く抱きしめられる
「本当は断りたいくらいなんだ‥‥でも‥絶対守るから‥‥無理はしないで‥」
『えっ?わ‥分かった!乙骨くんも無理しちゃだめだよ!約束ね?』
「約束‥ちゃんも」
潜入調査は確かに危険な現場も多いと聞くけれど
私達学生が行く場合は情報収集の重要性のほうが高く
身の危険を感じる事はあんまりない
それでもこんなに乙骨くんが心配してくれるということはキャバクラというところはとっても怖いところなのかもしれない
『がんばらなきゃ‥!』