第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
恐る恐る腕が身体に回されて
ゆっくりと抱きしめられる
『ど‥ドキドキするね‥』
「そ‥そうだね‥」
恥ずかしいけど
ゆっくりと私も乙骨くんの背中に手を回す
さらに距離が近くなって
どくん どくんと
自分の心臓が音を立てるのが分かる
お風呂でのぼせちゃった時みたいに顔が熱くなって
胸がきゅっと苦しくなる
「あの‥今日はいきなりキス‥しちゃってごめん‥」
『〜っ!』
耳元で聞こえる優しい声
それと共に蘇る柔らかな唇の感触
ドキドキの音がもっと早くなって思わず声が詰まると
さらに距離が近くなった
「もう一回だけ‥したらダメかな‥?」
『っ‥』
耳にかかる吐息に身体がぴくりと揺れる
『だめじゃ‥‥ない‥‥』
とっても恥ずかしくてドキドキしちゃうけど
勇気を出して恐る恐る見上げると
柔らかく表情を緩める乙骨くんと目が合った
その顔に浮かぶのは安堵と
熱
向かい合って
抱きしめられていた身体が少し離れると
両肩に添えられた手がゆっくりと私の身体を引き寄せて
唇が重なり合った
「僕も好きだよ‥」
鼓膜に響くような甘い声
お風呂上がりの石鹸の香り
濡れた黒髪からぽつりと落ちる水滴
熱っぽい眼差し
鍛えあげられた身体
乙骨くんの全部にドキドキしちゃって口から心臓がでちゃいそうなくらいだった
「‥」
『ぷはぁっ‥‥』
「え?!息止めてたの‥?!」
『か‥勝手に‥ドキドキしちゃって‥』
「可愛すぎるよもう‥‥」
一度離れた身体がまた引き寄せられて強く抱きしめられる
「五条先生も‥狗巻くんも‥みんなカッコいいし強いけど‥僕も頑張るよ」
『‥?乙骨くんもとっても強いしとってもかっこいいよ‥?』
「っ‥あ‥ありがと‥‥」
そのまま暫くして
気付けば時計の針はとっくに0時を過ぎていた
楽しくおしゃべりをしていたけど
段々と瞼が重たくなってきて目を擦ると
乙骨くんも小さな欠伸をしてベッドに寝転んだ
「明日も早いからもう寝よっか‥」
さっと布団をあげて私の入れるスペースを開けてくれる