第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
いい天気だねって言って見上げた空
確かに
こんな曇りの日も乙骨くんが言うならそんな気がして
ふたりで目を合わせて笑うと
少し恥ずかしそうに頬を赤く染める
まだまだ乙骨くんの事はよく知らないけれど
一緒に過ごすうちにとっても仲良くなって
素敵な人だなって思っていた
いつもの少し頼りなさそうな姿は守ってあげたくなるし
でも時折見せる真剣な顔は背筋がぞくりとするほど
強そうでカッコよかった
「ちゃんッ‥‥りか‥すきぃぃ‥ッ」
『わっ‥わわっ‥里香ちゃんっ‥!?』
「里香ちゃん!?ダメだよ急に出てきたらっ‥それにちゃんの事そんなに強く抱き締めたら壊れちゃうっ‥」
里香ちゃんがギュウギュウと私を抱きしめる
特級過呪怨霊
折本里香ちゃん
なぜかすごい懐いてくれている
「ご‥ごめんねっ‥大丈夫‥?」
強く抱きしめられていた身体が急に自由になって
ふらりと体勢を崩すとさっと手を差し伸べてくれる
『全然大丈夫っ!』
「怪我‥してない?」
優しく差し伸べられた手がするりと指の間に絡んで心臓がとくりと音を立てる
そのまま長い指先が肌の上を撫でる様に滑って
怪我がないか確認をしていく
「綺麗な肌に傷がついてないといいけど‥」
『怪我してないよっ‥抱きしめてくれただけだし‥』
「‥」
あまりに真剣な眼差しで
私の声も耳に届いていないのかそのまま距離がどんどんと近くなる
肩にかかる髪をさらりとよけて
首筋を撫でられて 体温がさらに上がる
『あ‥あのっ‥ほんとに大丈夫だよっ‥』
思わず声を上げると今にも唇が触れてしまいそうなほど近付いた顔がみるみるうちに赤く染まっていく
「‥えっ?!わぁっ‥ごめんっ‥‥!!」
『えっ!だ‥大丈夫っ‥!心配してくれてありがとうっ‥』
体術の練習で身体が密着する事はあるけれど
なぜか乙骨くんといる時だけはこんなに胸がドキドキとして
身体が熱くなってしまう
「あ‥の‥僕伝えたい事があって‥」
『伝えたいこと‥‥って‥わぁっ?!』
乙骨くんが何かを伝えてくれようとした時
突然身体が後ろに引っ張られた