第2章 僕らの愛は
「機嫌治ったの?」
「…またしつこくしたら嫌になる。」
の嫌そうな顔を掴んで、キスをした。
初めてキスした時もこんな顔だった。
『…私が殺しました。』
悟の脳裏に10年前のが思い出される。
惨状の中心に1人で座っていた少女。
その目には何も映っていない様に暗く深い闇を宿していた。
「……しないの?」
キスだけで服を脱がさない悟には尋ねた。
「……今日はいいや…。」
を抱き締める悟に、情欲はあった。
だけど、悟はただを抱き締めてキスだけをする。
その繰り返しの時間で、の瞼が重くなった。
いつの間にか腕の中で寝たを確認すると、全身でを抱き締める。
しばらくそのまま悟は動かずに、の吐息だけを聞いていた。