第3章 私達は
断れない妲妃の欲望は。
の欲望なのか、妲妃の欲望なのか。
憑依され、恍悦に顔を赤らめるからは、もうどちらかの欲望なのかは分からない。
指名された非捕食者は、その体を彼女に預けるしか出来ないのだから。
の唇が触れると憂太から呪力が抜き取られる。
その感覚はよく知っている様で、毎回初めての感覚に思えた。
憂太の肩にの手が食い込む。
指を立てて痛みを与える指先があるのに。
集中するのは触れている唇だけだった。
体から呪力が抜ける感覚。
その瞬間は妲妃に捉えられて身動きが取れない弱い個体になった気分と。
唇から与えられる感触の心地よさに。
目を瞑って、の体を抱き締めたくなる。
「はっ……はぁ……。」
息継ぎも許さないその摂取には、一方的な情欲しか感じない。
だけどいつもその先の衝動を抑えるのに、全身の神経を使う。
しばらく憂太の唇を堪能して、彼の呪力が自分の体に入ってくるのを感じる。