第1章 毒女は転生する
『いいですよ。』
こちらの返事も短い。
要件も言わずに分かっている返事が煩わしくなくて良い。
は鏡越しに映る妲己を見た。
妲妃は満足そうに笑っている。
「……今日はあんたに付き合ってあげるから、大人しくしててよね。」
がそう言うと、妲妃はまた姿を消す。
本当に。
生きているだけで煩わしい事ばかりだった。
両手を洗面台に吐くと、大きく頭を俯けた。
「……今にも誰か呪い殺しそうですが……。」
との待ち合わせ場所に現れた七海が、妲妃を見て言った。
「……ああ…、『着いて来てる』んでしょう。」
うんざりした様に言うの背後を見ると、しっかり不機嫌顔の悟と傑がいた。
「……………。」
あの顔を見る度にいつも思う。
自分は明日には生きていないのではないか。
側にいる特級過呪怨霊より、背後の特級術師の方が数倍も恐ろしい。