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【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第8章 黒か青か (悟ルートへ)



「大事な大事な妹を、他の男に取られるのが嫌っていう兄心かな?」

と無邪気に笑った灰原くんの台詞に、何故か胸の奥がチクリと痛んだ気がした。

傍から見たら、やはり恋人ではなくて、過保護な兄と可愛いがられる妹に見えるんだろうな。

そんなやり取りをしつつ、各々パンやおにぎりを買った私たちは、三人で教室に行ってからお昼を食べることにして、食堂を後にした。

お兄ちゃんは私にも甘いけど、なんだかんだで五条先輩のワガママにもガードが甘いと思う。

普段は言い合ったり、ケンカばっかりでも、五条先輩のことを絶対的に信頼している証拠なんだろう。

揺るぎない親友という二人の空気感が、私は少しだけ羨ましい。

その日の夜は、傑お兄ちゃんが講義で出された課題を消化するために、一緒に過ごすことは出来なかった。

一人で夕飯を済ませてシャワーを浴びてから部屋へ戻れば、ベッド上に放置していた携帯電話にメールが届いていた。そのメールの差出人は五条先輩から。


「好きな色は?」


いつもだけど、前置きがなくて唐突すぎ。意味不明。思わず眉間に皺が寄ってしまう。

傑お兄ちゃんのことが頭に浮かんで「黒」と答えそうになったけど、本当に自分の好きな色は何かと問われると、即答出来ないなと思い直す。

特に考えたことなかったし、休日の普段着だって適当に決めてるだけだ。

お兄ちゃんのシャツを借りることもある。

クローゼットを開けると、無難な配色が並んでいて、白、黒、青が多いことに気付く。

「女子力低いクローゼット」

なんて、自分で自虐を呟きながら、適当に白い服を手に取ってみる。

無難、そして清潔感のある色が好きだけれど、世の女子は何色の洋服を持っているんだろうか。

雑誌を読まないし、流行りが分からない。

毎回「何色でも可愛いよ」と言ってくれるお兄ちゃんのアドバイスも参考にならない。



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