第1章 背徳は蜜の味✿
私は、傑お兄ちゃんの意図することを瞬時に理解してしまった。
傑お兄ちゃんはニッコリと清々しく微笑むと、唇の前に人差し指を当てた。行為の最中は声を出すな、と。そう言われた気がして、私は視線を逸らせないまま頷く。
私の体に手を這わせてくるお兄ちゃんの瞳の奥には、静かに情欲の炎が揺らめいていた。これから与えられる快楽を期待してしまう自分が浅ましく思えてしまう。
「お兄ちゃん……」
「二人きりの時は、名前で呼ぶって約束したじゃないか」
咎めるような口調でそう言われてしまい、私は観念して小さく「傑」と呼んだ。
傑お兄ちゃんは満足げに目を細め、もう一度口付けてくる。今度は触れるだけの軽いものだった。
「……好きだよ、ゆめ」
甘く蕩けるように笑いかけてくれる彼に、胸が高鳴る。
優しく頬を撫でられた。
再度、彼に軽く口唇に吸い付かれて、舌先で口を開けろと催促されてしまう。兄妹でキスをしている、その事実だけで背徳感が増して下腹部がムズムズしてくる。
そっと薄く口を開くと、ぬるりと侵入してきた分厚いそれに自分のものを絡め取られる。
「ふ……ぅん……」
くちゅり、と水音が響いて、羞恥心が煽られる。逃げようとするも、後頭部を押さえ込まれていて、それは叶わなかった。
スルッと、お兄ちゃんの手が制服の上着の中に侵入してきた。ブラウスの上から胸を撫でられ、少しだけ緊張する。片手で器用に上着とブラウスのボタンを外されて、私は思わず息を詰めた。
露わになったブラの隙間から、大きな手が入ってきて直接乳房に触れられると、キスの最中でもピクンと体が反応してしまう。
手のひら全体で捏ねられるように撫でられると、否応なく胸の突起がピンと立ってきてしまう。
傑お兄ちゃんに触られていると思うと、それだけで感じてしまう。
「はぁ……あっ……ん、ん……」
「ゆめ……こっちに集中しないといけないよ」
重なっていた唇を離して下を向いてしまうと、耳元で傑お兄ちゃんに囁かれた後に、再び唇を塞がれてしまう。
その間にも、両方の乳首をクニクニと弄ばれて、時折きゅっと摘まれる度に体が震えた。私は傑お兄ちゃんの肩にしがみつくしかできない。
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