第6章 恋い蛍✿
妖しく濡れた瞳から注がれる、彼の熱い視線にすら感じてしまって、身体が勝手にぴくぴくと震えるのを止められない。
傑お兄ちゃんの手が私の足をゆっくりと撫で上げた後、焦らすかのように、ショーツの上から蜜口に指先だけをグリグリと押し当てた。
「ん……っ、おにいちゃ……」
布越しでも、傑お兄ちゃんの指の硬さと形はよく分かる。私は無意識のうちに腰を揺らして、早く触れて欲しくて催促していた。
すると、傑お兄ちゃんは指を離すと私の頬に軽く口付けた。そしてそのまま唇をすべらせて、首元までなぞっていく。
まるで痕でも付けるように強く吸っては、また戻り、唇を重ねる。
「んぅ……」
生温かい舌が私の口腔内を犯していく。
舌先で歯列や上顎、舌の裏側までなぞられて、飲みきれなかった唾液が口端から溢れて、やわらかい彼の舌に舐め取られる。
私はお兄ちゃんの服を縋るように掴みながら、舌を絡め返した。
くちゅくちゅと互いの舌を絡ませ合う音のせいで、頭に熱が溜まって思考が溶けていく。
「……うっ、ふ、ぁ……」
「ゆめの浴衣姿は私だけのものだね」
傑お兄ちゃんはそう言いながら、今度は耳を食んできた。耳朶にぬるりとした舌の感触を感じて、私は声にならない喘ぎをあげた。
「ん、っ……おに、いちゃ……」
「今夜は名前で呼んでくれないのかい?」
やわやわと耳を食みながら、吐息を吹きかけるようにして囁かれる。
その声音はひどく艶っぽくて、聞いているだけで身体に電流が流れたかのように身体が戦慄く。
私は顔を真っ赤にさせながら、「すぐる」と小さな声で彼を求めた。
すぐさま嬉しそうな表情を浮かべて微笑んだ後、「もっと」と、傑お兄ちゃんは低く掠れた声で、私の耳元で囁く。
その声は脳髄を蕩かすほどに甘美で、身体の奥まで染み渡るように響いて、頭がクラクラする。
私の前にいるのは、いつもの穏やかな兄ではない。
私から求められることを望んでいる、一人の男の人だった。
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