第4章 決意の告白
首筋に顔を埋められると、肌にかかる吐息がくすぐったくて身を捩ったが、お兄ちゃんが動く気配はない。
広い背中に手をまわして、私と同じ洗剤の香りがするTシャツを握りしめ、
「五条先輩がね、私達が血の繋がってない兄妹だって知ってたよ。相手が傑お兄ちゃんじゃなきゃ、遠慮なく私を奪い取れたのに……って」
そう言った私に、お兄ちゃんは何も答えない。
だが、ぴくりと身体が動いた。
そのまま黙って話の続きを待っているようだったので、私は言葉を続ける。
「私とお兄ちゃんの関係を周囲に知られてもいいのかって脅されて、デートの約束しちゃったけど……ほんと、馬鹿みたい」
あれから色々考えたけど、五条先輩と付き合うなんて未来はどうやっても思い描けなかった。
想像の中の私の隣で笑ってるのは、いつも五条先輩じゃなかった。
私の髪を撫でて、口付けて、肌を重ねるのは、たった一人だけ。
私が鼻で笑うと、首筋に触れていた唇が離れた。
顔を上げると、目の前には複雑そうな表情を浮かべるお兄ちゃんがいた。
その表情の意味を読み取ろうとしていると、おもむろにキュッと鼻先を摘まれる。
「いっ……!いきなり、なんで……」
突然の行動に面食らって尋ねると、お兄ちゃんはくつくつと笑って「勝手にデートを約束したお仕置きだよ」と答えた。
仕返しに、手を伸ばして相手の頬をつねるが、すぐに反撃されて両手を押さえ込まれる。
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