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【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第13章 白夜の陽炎✿



「あの馬鹿……まぁ、どっかで会えるだろ」
「便りがないのは、元気な証拠ってね」

そう明るく笑い飛ばしたのは、五条先輩と家入先輩だった。その言葉とは裏腹に、二人とも寂しげに笑いながらも、決して泣き言一つ零さなかった。

学生の内に無下限呪術の使い手として完全に覚醒した五条先輩は、その後の鍛錬のおかげもあり、高専の教師をしながら無類の実力を誇る最強呪術師となる。

七海くんは呪術師であることへの意味を見出せなくなったと言い残し、卒業後は一般企業に勤めることになった。

同期として少し寂しいけれど、呪術界の世知辛さは理解出来るので、笑顔で彼の門出を祝った。

各々が、学生の頃のままではいられない。

私もその例外ではなく、五条先輩の隣に居ることを選択するために、血反吐を吐く思いで努力を重ねなければならなかった。

自身のフィジカルも鍛え、私が式神使いとして1級術師に上がる頃には、五条先輩は人間離れした術師になっていた。

家入先輩を通して仲良くなった歌姫先輩には「アレを基準にしない方が、術師としては長続きするよ」と冷静な助言を頂いたが、自分の伸び代の限界が見えた時、私は傑お兄ちゃんの気持ちが解ってしまった気がした。

強くなれば、五条先輩の隣に立つ資格が得られるような気がしていたが、一生かかっても、その「場所」には到達することはできないと理解してしまった。

私が五条先輩を選ばず、一貫してお兄ちゃんに寄り添っていれば、何か変わっていたのではないか。

淡々と過ごす日々の中、そう思わずにはいられなかった。



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