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【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第13章 白夜の陽炎✿



翌朝、目が覚めた時に一番最初に視界に映ったのは、見覚えのない白い天井だった。

ぼんやりとした意識の中で欠伸を一つ漏らした後、起き上がろうとしても身体が動かない。

それもそのはずで、私を抱き枕のように抱きしめて眠っている五条先輩がいる。

密着しているので、寝息が首筋にかかってくすぐったいし心臓に悪い。

どうにか抜け出そうと試みるも、力では敵わないので諦めて脱力した。小さくため息を吐きながら、先輩の髪を撫でる。

「……起きてたのか」

不意に耳元で聞こえた掠れた声に、ビクリと身体を震わせる。驚きながらそちらを向けば、眠そうな眼差しをした五条先輩と目が合う。

いつの間に起きていたのか。

白いレールカーテンの僅かな隙間からは眩しい朝の光が射し込んでおり、思わず目を眇める。

「か……カーテン、開けようかな」
「いや、まだいい」

伸ばした私の手に、五条先輩の大きな手が包み込むように重ねられた。

背後からぎゅっと抱きしめられる形になり、そのまま背中越しに感じる彼の体温に、妙にソワソワとして落ち着かない。

「……五条先輩は眠れましたか?」
「ん……まぁ、ビミョー」

うなじを伝う先輩の吐息や、耳に吹きかけられる囁き。先輩の身じろぎ一つ一つが私の鼓動を乱して仕方ない。

そんなことはつゆ知らず、五条先輩がゆっくりと身体を起こして欠伸を噛み殺していた。

「今日から、朝な夕な人目を気にせずにゆめとアレコレやりながら一緒に過ごせるってワケか」

その一言に私が振り返ると、にっと眩しい笑顔を見せられた。無防備な表情に、この人が私の“彼氏”なんだと改めて実感する。

なんだか照れてしまって、熱い顔を隠すように寝返りを打って両手で頬を覆う。

もっと恥ずかしいことは済ませているのに、五条先輩を意識し始めた途端、何をしていても一々動悸が激しくなる。

深呼吸しても落ち着かない。



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