第12章 狼さんの甘咬み✿
「五条せん、ぱ……あの、あたってます」
太ももにあたるのは先輩のアレだろう。
熱を帯びて硬くなったそれを押し付けるようにして揺すってくるから、興奮しているのが自分だけではないことが分かって、たまらなく嬉しい。
「当たり前だろ、ワザとやってんだから」
「仕方ない先輩です……ねっ」
私が体を起こし、不意打ちで先輩に抱きつく。
そのままベッドに押し倒すと、意外な展開だったのか、驚いたように目を瞬かせている。
悪戯が成功したような気分だ。彼を見下ろすために馬乗りになると、五条先輩は「お」と楽しそうな顔をした。
「騎乗位でもすんの?ゆめ」
「昨日のお返しをしようと思って」
挑発的な先輩の言い方に対抗意識を煽られて、少しムキになった様な言い方になる。
そんな私の反応を見てくつくつと笑っていたかと思うと、
「やってみ?」
と、彼は煽るような視線を向けてきた。
ここで引くのもなんだか癪だ。
ショーツ一枚のお尻にグリグリと当たる硬いものに息を飲む。体の芯がヒリヒリするような本能的な衝動を内に秘め、私は笑んでみせた。
「言われなくても……やります」
先輩はベッドに横たわりながら、余裕たっぷりの顔でこっちを見上げている。
私は先輩の服に手をかけた。
半袖のシャツのボタンを震える手で外し、はだけさせた。その間、五条先輩は黙ってされるがままになっている。
露わになった胸板を撫でるように手を滑らすと、先輩の眉がぴくりと反応を示した。今度はそこに口付けてみた。
ちゅっ、と音を立てて何度か繰り返しキスを落とすが、先輩は相変わらず楽しそうにしているだけで全然余裕そうな様子だ。
それが悔しくて、私は少し歯を立てて噛み付くような勢いで彼の首に顔を埋める。肌荒れ一つない綺麗な肌に、薄っすらと歯型がついた。
「ゆめ、噛むな噛むな。猫かよ」
嗜めるような口調で注意されたが、無視して今度は舌を這わせてみた。すると今度は「おい」と言いながらも頭を優しく撫でてくれる。
反応してくれるのが嬉しくて、何度も舐めて、甘噛みを繰り返している内に段々と気分が高揚してきた。
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