第12章 狼さんの甘咬み✿
そのまま首に唇を寄せられて、ちゅ、ちゅっと音を立てて口付けを落としてきた。生暖かい吐息が、敏感になり始めた肌を掠めて粟立つ。
「ん……あ、ぁっ、五条先輩……」
私が呼ぶと、ぴたりと愛撫が止まる。
「ゆめをイジメて泣かせるのも楽しそうだけどな。この口から聞かせてくんねーの?」
視線を外せないように、顎を固定された。
問いかけているようで、強制じみている。
私から求める言葉を引き出すまで、逃さないとでも言いたげな先輩の表情。
じわりじわりと、身体の底から何か熱いものが込み上げてくる。きっと、無理強いされても相手が好きな人なら許してしまう。
「先輩に……イジメられても、いい……です」
甘く懇願するような声が出て羞恥が募る。それでも今は彼に触れられたいという欲求の方が強かった。
「へぇ……で、俺にどうされたい?」
私の脇腹を、先輩の指が滑る。
分かってるくせに。意地の悪い人だ。
「……む、胸……もっと触って、ほし……」
恥ずかしすぎて、言葉の最後が尻すぼみになる。
真っ赤になっているであろう自分の顔を手で覆うと、相手は笑いを堪えているのが伝わってくる。
「よく出来ました」
ご褒美と言わんばかりに胸の突起を摘まれて、反対側は優しく揉みしだかれる。
その刺激だけでもどうにかなってしまいそうなほど、私の心身は五条先輩の与える快楽に溶かされつつあった。
「ん」と鼻にかかった声を漏らして、彼の肩に頭を押し付けると、彼は「いいか?」と囁いてきた。
こくり、と小さく首を動かせば満足そうに笑ってくれる。先輩を見たくて顔を上げれば、優しく唇が重ねられた。
ちゅぱっと音を立てて離れたと思ったら、またすぐに塞がれる。口を開けば舌を差し込まれて口内を犯された。歯列をなぞって上顎をくすぐられると背筋がゾワゾワする。
その間にも、両方の手は休むことなく胸への愛撫を続けていた。
「ふっ、ん……んぅ」
息継ぎの合間に漏れる声は私のものではないみたいだ。先輩が手を休めずに胸の突起を押し潰したり引っ張ったりするから、快感から逃げられない。
キスしながら、あちこち愛撫されて、どろどろに溶かされていくような感覚に陥る。
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