第12章 狼さんの甘咬み✿
「ゆめの白くて細い首筋も好き。華奢な鎖骨も綺麗だし、肌はもっちりとして、きめ細かいし、つい触れたくなる」
傑お兄ちゃんの手が私の肩に触れると、ビクリと身体が震える。
「……可愛いね」
そんな熱っぽい眼差しで見つめないで欲しい。
胸が苦しいくらいにドキドキが止まらない。
体温がこれ以上ないくらいに急上昇する。私は必死に、心臓を落ち着かせるために深呼吸を繰り返す。
「あ、あの、傑お兄ちゃん……えっと……もう分かった、か、ら……」
これ以上されたらおかしくなりそうで、慌てて制止の言葉をかけるが、彼はニコニコと笑うだけでやめてくれない。
そして今度は耳元に顔を寄せてきた。吐息がかかる距離に、心臓が飛び跳ねる。
「……ゆめの甘くていい香りのする髪も好きだし、小さくて形の良い耳も好きだよ。それから、感度も良いよね」
ふぅーっと息を吹きかけるように囁かれ、私はビクリと肩を竦ませる。その様子を楽しむかのように小さく笑うと、そのまま首筋にキスしてくる。
「ん?」
お兄ちゃんが怪訝な声を上げた瞬間、昨夜の五条先輩との情事が私の脳裏を横切った。
キスマークの一つや二つ、当然のことながら残っているだろう。それを見られてしまったことを瞬時に悟り、さぁっと血の気が引いた。
「あ、あのっ」
「……悟に気を許しすぎだ」
「お兄ちゃ……ん、ごめ……っ」
「大方、悟からゆめに迫ったんだろう」
ぬるっと、お兄ちゃんの熱い舌が首筋を舐め上げる感覚に、ゾワゾワとした快感が背を走り抜ける。
「はぁ……ん……っ」
ちゅ、ちゅっとリップ音を立てながら何度も首に吸い付かれるうちに頭がボーッとしてくる。
いつの間にか身を委ねていたことに気付き、慌てて我に返るが遅かったようだ。
傑お兄ちゃんは私の腰を抱き、逃げ場を奪ってしまう。その間も首筋へのキスや甘噛みが続き、どんどん身体が熱を帯びていくのを感じた。
もう力が入らないくらいになってようやく解放される頃には完全に骨抜きにされてしまっていた。
「ねぇ……ゆめ、私を見て」
顎に手を添えられ上を向かされる。
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