第12章 狼さんの甘咬み✿
お兄ちゃんは昔から私を大事にしてくれた。妹として可愛がってくれた。
そして、恋仲になった現在も不変の愛情を注いでくれているから、私をどう思っているのか知りたい。
「そう……だな」
傑お兄ちゃんは少し考えてから口を開く。
「まず、ゆめの外見が好みだったからね。出会った時は、妖精の女の子が夏油家に来たのかと思ったくらいだ」
大真面目な顔で言うものだから、口に含んだ紅茶を噴き出しそうになる。
初っ端から、そうくるのか。
お兄ちゃんのいつもの調子だと、優しいとか内面の話から持ち出しそうだと予想していた。
少し動揺する私を見て、彼はクスリと笑う。
「目は大きいわけではないけど黒目がち。ふっくらしてる唇はキスしたくなるし、恥ずかしがって頬が赤くなってるの見ると、守ってあげたいって思ってしまう。……ゆめを見てるといつも思うよ、『あぁ、可愛いな』って」
彼の指に頬を撫でられると、そこから熱が広がっていくような感覚が生まれる。
今まで生きてきた中で容姿を直接的に褒められることはあまり無かったので、なんだか照れてしまう。
「でも、私にしか見せてくれない柔らかい笑みや、甘え上手なところも可愛くって好きだよ。あとは……ベッドの上で、泣きそうな顔で達した後の姿はすごく色っぽくて綺麗だ。何度も抱きたくなる」
こんな風に傑お兄ちゃんから面と向かって褒められるのは初めてで、顔全面がものすごく熱い。
きっと今の私のほっぺは林檎みたいに真っ赤になっている。
「照れてる?」
クスクス笑う傑お兄ちゃんがなんだか余裕に見えて少し悔しい反面、私の反応を楽しんでいるような感じもあって、こんな戯れも嬉しいと思ってしまったのは内緒だ。
「それに、悟も硝子も知らないゆめを私だけが知っているっていうのもいい」
お兄ちゃんの手が腰を撫で、そのまま太ももに触れる。さわさわと手が触れる度にスカートが揺れる。
「んっ……」
もどかしくて擽ったい感覚に声が漏れる。
傑お兄ちゃんは特に気にした様子もなく続けるので、私は大人しくされるがまま。
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