第10章 彩光✿
私はゆっくりと目を閉じて、五条先輩の浴衣を握りしめた。その瞬間、また花火が打ち上がり、私たちを照らす。
唇が離れてお互いに見つめ合うと、再び唇を奪われた。
触れるだけのキスでも、思考が溶けそうなくらい気持ちよくて、抵抗することは出来なかった。
唇を何度か甘噛みしてから、ペロリと熱い舌が私の唇をなぞる。私が口を小さく開けると、その隙間を縫って五条先輩の舌が滑り込んできた。
ざらついた舌の感触に背筋がぞわぞわする。
「……ん、んン……っ」
口内を丁寧になぞられて、だんだん息が上がる。
先輩の舌が、逃げ惑う私の舌に絡み付いてきて、くちゅりと唾液が混ざる音がした。
花火の音が遠くに聞こえる。
生々しい水音や自分の乱れた呼吸の音が、部屋中に響いているような気さえする。
「ふ、ぅ……っ、ん……」
顔が火照って、くらくらする。
先輩とのキスが気持ちいいと感じてしまっている自分が恥ずかしい。ジクジクと、痛いほどに甘く蝕まれていく。
暫くの間、角度を変えながら唇を合わせて舌を絡め合った後、ゆっくりと五条先輩の唇が離れていった。
密着していた部分が空気に触れて少しひんやりする。
ぼんやりとした意識の中、店内の喧騒も花火の音も、小さく聞こえるのに、逆に心臓の音だけは大きくなっていく。
「せんぱ……い……なんか、変……私……っ、熱くて……」
キスを終えても、どんどん熱が溜まりゆく。
内部で熱い何かが渦巻いているようで、自分の体じゃないみたいだ。
五条先輩は私の背中に腕を回して、再び抱き寄せる。
首元に唇が寄せられ、今度は強く吸い付かれた。
ピリッとした痛みが一瞬走ったが、そのあとに湿った柔らかいものが触れてきて、またビクッと身体が跳ねた。
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