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【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第10章 彩光✿



「じゃあ、俺も取るかな」
「お、にーちゃんもやるのかい?」

おもむろに、五条先輩がお店の人から銃を受け取り、構える。

「生憎、目と勘は良いモンでね。初心者だから加減分かんねぇし、全弾命中するかもよ?」
「ははは、若いヤツは元気があっていいねぇ」

五条先輩が軽く笑い、銃口にコルクを詰めるだけなのに、隣で見ている私の方が緊張してしまう。

サングラスを外して懐に入れ、本気になった五条先輩が構えた。

ゆっくりと引き金を引くと、パンッと軽い発砲音と共に、縦に細長い箱が落ちた。

それを見てお店の人が声を上げる。

飛んだ弾から微かに呪力の気配がしたけど、先輩がズルはしてないって信じたいところではある。

初心者とは思えない五条先輩の手際の良さに驚いてしまったものの、その横顔があまりに綺麗で目が離せなかった。

真剣な眼差しで見据える五条先輩がカッコよくて、息をすることを忘れそうになる。

長身で白髪碧眼の先輩は、人の目を引く。

いつの間にか周囲が騒がしくなっていて、応援ギャラリーが増えていた。

「おっさん、景品は最初の一個だけでイイからな」

そう宣言し、不敵な笑みを浮かべる五条先輩の口端がクッと更に上がる。

私は固唾を呑んで、それをじっと見つめる。

流れるような動作で狙いを定め、先輩の指がトリガーに掛かり、次の弾が放たれる。

流石というべきか。全弾命中し、他の景品が棚から落ちると同時にお店の人は白旗を振った。

「にーちゃん……やるねぇ」

射的屋のおじさんはポカンとした後にカラカラと笑い、五条先輩に話しかけた。

最初に落とした景品だけを受け取って、再びサングラスをかけた五条先輩は得意げにニヤリと笑った。

「目が良いのが自慢なモンで」

私が呆気にとられて何も言えないまま唖然としていると、先輩はその景品を私に差し出した。



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