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【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第10章 彩光✿


コルク銃を手に、浴衣の袖をまくって気合いを入れるも、結果は全弾外れ。リベンジをしようかと燃えていると、五条先輩の声がした。

「おっさん、もう一回」
「お嬢ちゃんの彼氏かい?一回300円、使える弾は5発だよ」

そんなやり取りの後、銃を持つ私の手に先輩の手が重ねられる。

目を白黒させて五条先輩の方へ振り返ろうとすると、

「集中しろ。取りたいんだろ?」

すぐ近くで彼の声がして、耳が熱くなる。

私は慌てて何度も頷くと、五条先輩は満足そうに笑って、更に背後から私に密着してきた。

「オマエを見ていてコツは分かった。弾を詰める前に上の方のレバーを引け。じゃねーと威力が落ちる」

解説しながら弾を詰めた先輩は、私の手ごと銃を握って位置調整しトリガーを一気に引いた。

パンッという小気味いい音と共にコルクが飛び出した。

「少し動いたが、まだだな」

間近で聞こえる声と息遣い。

先輩との距離の近さに心臓がドキドキと脈打ってしまって、まともに景品を見られる気がしない。

私はそれを先輩に気づかれないように、下の方を見ながら数回深呼吸を繰り返した。

すぐに第二発目を詰めて、五条先輩が腕の位置を調整してくれるけど、私の身体に触れてるところが熱い。

きっと私の胸の音も先輩に聞こえているんだろうと思うと、恥ずかしくて死にそうだ。

「よし、そのままだ」

五条先輩はそう言って私の腕を支えながら、指示を出してくる。狙いを定めて集中しているのが分かる。

先輩の低い声が耳に響いて変な気持ちになる前に、早く終わって欲しくて必死に引き金を引いた。

すると、弾が的に当たって、狙っていた景品が棚から落ちるのが見えた。

「やった……っ」

私が小さくガッツポーズをすると、背後で微かに笑われた気配がした。

興奮状態から我に返って手を下ろすと、五条先輩の熱が体から離れていく。

そして、落としたキーホルダーを射的屋のオジサンから受け取ると、私の手にそれを握らせた。

「先輩、ありがとうございます」

私が五条先輩にお礼を言うと、当然と言いたげな表情で胸を張っていた。



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