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【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第10章 彩光✿


私もかき氷の屋台まで行って、イチゴ、レモン、ブルーハワイの味が書いてある札を眺める。

すると、端っこに面白いものを見つけた。

「レインボーかき氷下さい、練乳追加で!」
「あいよ、ちょっと待ってくれ」

注文し、私が財布から小銭を出して準備をしていると、ブルーハワイのかき氷片手に、五条先輩が不思議そうな顔をする。

「五条先輩は知らないでしょ?」

得意気にフフンと私が鼻で笑うと、まったく予想出来ていない先輩は眉間に皺を寄せた。

私には、傑お兄ちゃん直伝の秘策がある。

イチゴ、レモン、ブルーハワイから更に色が混ざり合って、見る見るうちにオレンジ、グリーン、パープルが生まれた。

そして仕上げに練乳がかけられた鮮やかなかき氷を五条先輩に見せつける。

五条先輩はサングラスを指で持ち上げ、目をキラキラと輝かせてかき氷を食い入るように見つめた。

「ゆめ……っ、オマエ天才!」
「大袈裟な。先輩も一口食べます?」

そう言ってから、かき氷を差し出す。

私とかき氷を何度か交互に見たあとで、五条先輩は自分が持っているスプーンで一口掬うと、口に含んだ。

シャクシャクと氷を噛む音が聞こえる。そしてまた目を輝かせ、スプーン山盛りの二口目を私の器から掬うと、また自分の口に含んでいた。

「五条先輩、一口だけって言いましたよね?」

私がクスクス笑って指摘すると、かき氷に夢中になっていた五条先輩はハッとしたように顔を上げた。

「……ああ、悪い」

バツが悪い様子でプラスチックのスプーンを歯で噛みながら、五条先輩は名残惜しそうにこちらに視線を向けた。

そして、自分の青いかき氷を再び食べ始める。

私より身長が高いのに、肩を落としてションボリしている姿はなんだか可愛い。

「次に来た時に、また食べたら良いじゃないですか」

私は何気なくそう言って、自分のかき氷を掬って口に含んだ。



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