第1章 背徳は蜜の味✿
「……ふ……ぅ……んんンッ……」
「ゆめ……少しなら、声を出してもきっとバレることはないよ?」
優しい悪魔の囁きが聞こえた。お兄ちゃんの纏わりつくような低く甘い声で、堕ちるところまで堕ちてしまいたくなる。
無意識のうちに、自分の良いところに擦り付けるように動いていたようで、押し付けたまま腰を揺らすと、傑お兄ちゃんは小さく息を詰める。
「こら、それは反則だろ……っ」
後ろから荒々しい呼吸が聞こえる度、繋がった部分から感じる体温に愛しさが増す。私の腰に添えられている彼の手を掴むと、汗ばんだ指同士を絡めた。
傑お兄ちゃんも握り返してくれるのを感じながら、相手に合わせて、私もゆるゆると腰を動かし始める。
傑お兄ちゃんの吐息も、段々と余裕のないものに変わっていくのが興奮する。最初は遠慮がちだった私の動きも、だんだんと大胆なものになっていく。
「あぁっ、んっ、んんっ、あ……っ、おにいちゃ……っ、とまらないの……」
目を閉じて、お兄ちゃんのモノが私の中を出入りしている光景を想像してしまい、体の中心がじんわりと熱くなる。
露出した胸の先端が、動く度にドアに擦れてジンジンと疼いた。その痛みすらも心地よく感じて、もっと強い刺激を求めて、自然と体が揺れ動いてしまう。
その時だった。部屋の外、少し遠くから足音と話し声のようなものが聞こえてきたのは。
それは段々とこちらに向かって近づいてくる。一瞬、私は唇を噛んで息を飲んだ。
「……っ!だ、め……っ、人、来ちゃう……」
我に返って小声で訴えると、傑お兄ちゃんに私の顎を掴まれて振り向かせられる。
口の中に指を差し入れられ、舌を絡め取られる。その間も傑お兄ちゃんの腰の動きは止まらなかった。
私が抵抗しようとすればするほど、傑お兄ちゃんの指が口の中を犯してくる。
「んん……っ……ンッ……」
「ゆめ、静かにしないと聞かれてしまうかもしれないよ。それで良いのかい?」
「ん……んンッ……」
「ほら、こっちに集中。そう……上手だ」
傑お兄ちゃんに促されるままに、私は全てを忘れて行為に没頭していく。
唾液塗れの手が口から離れていった時には、私の頭の中にはお兄ちゃんのことしかなかった。
→