第22章 お見合い話
話を終えて廊下に出ると、なぜかそこにはサラマンダーとフェリシアとジョアンがいた。何をしている、ノックしたらよかったもののと私が言うと、サラマンダーは意味深そうに笑い、フェリシアは慌てた様子でジョアンの後ろに隠れる。まさか、話が終わるまでここで話を聞いていたとでも? とはいえ、聞かれて困るような話もしていないが……。
「ねぇ、お父さん」ジョアンがようやく口を開く。「ロード様、お父さんと結婚したいと思ってるんじゃない?」
「なっ、何を言う! 私とロード様じゃ全くもって身分も違うのだぞ! そんなはずないだろう!」
私は身構えていなかった言葉にやや口早でそう言い返してしまう。というか、私と結婚しても、ロード様やこの領地にはなんのメリットもない。そんな話はありえないのだ。
「でも、ロード様は身分のことなんて気にしないんじゃない?」
「それは分かってる。だが、大人には色々あるのだ……」
「私、もう成人してるけど?」
「いいからいいから。それより、例の件はどうなったんだ?」
「あ、それなら──」
私はジョアンに訳の分からないことを言いつつも執務室から離れた。ジョアンの失礼な発言、ロード様に聞かれてはいないだろうな……?
おしまい