第22章 お見合い話
ロード様もそれなりに年頃なので、そういう話はよく舞い込んでいた。
前は敵同士の領地主と。平和協定を出汁に戦略結婚を申し出されていたがロード様は却下。それ故に争いが仕掛けられたことは無いが、同じギルドメンバーである別の領地主に戦争を仕掛けるという野蛮なことをされ、ロード様は心を痛めながらも、絶対あの男とは結婚しなくて良かった、と言い切った。
ある日は同盟国の領地主と。お互い資源を分け与えていた関係だったが、実はここの領地にしかない宝物と鉱石を狙っていたと分かり結婚の申し出を却下。今でも友好的な関係ではあるが、ロード様は少々苦手意識があるみたいだ。
次にロード様に結婚を申し出てきたのは、別ギルドの全然知らない女性領地主。前にこの領地に戦争から避難させてもらってたとかで、ロード様に一目惚れしていたから結婚をして欲しいと申し出た女性もいた。老若男女人気とはいえ、女性からの結婚の申し出は驚いたな。もちろんロード様は丁重に断っていたが。
そしてついこの前やって来たのは、同じギルドメンバーの領地主。ロード様よりやや若い気のいい青年で、何かしら助けたり交流のある人物だった。その日開催していた舞踏会でも一緒に踊っていい雰囲気だったのに、ロード様はその人物からもとうとう結婚を断った。
ここまで来ると、ロード様には結婚願望がないのか? という気がしてきた。いや、今までの領地主も、政略結婚がほとんどだったが、あんな人柄のいい人物さえも結婚の申し出を断るとなると、私も聞かざるを得なかったのである。
「ロード様、お言葉ですが、結婚願望はないのですか?」
執務室で二人きりだった時だ。私はそう切り出した。
「うーん、そうねぇ……」
ロード様は窓から外を眺めていた。書類の作業はすでに片付いていたのだ。ロード様はこちらを振り向く。特段怒っているような表情はない。