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ロード様とヒーローたちの休息[rm]

第15章 もふもふは正義


「可愛いわね〜」
 ある日の昼下がり。休憩を終えて王室の護衛へ戻ると、ロード様の甘い声が聞こえた。
「僕は可愛いだけじゃないんだぞ」
 声を聞く限り、また誰かがロード様に捕まっているみたいだ。王室に入ると、やはり、ロード様の膝の上にはスパーキーが捕まっていた。
「スパーキー、来ていたのか。元気そうだな」
「まぁね」
 私がスパーキーに挨拶をすると、スパーキーの明るい声が返ってくる。スパーキーはロード様に捕まること自体はあまり嫌ってはいないようだ。
「ねぇ、アルフレッド。スパーキーったらモフモフして心地いいのよ♪」
 とロード様はスパーキーの桃色の毛並みに指を通す。スパーキーも居心地がいいのか、気持ちよさそうにしている。
「それは何度も聞きましたよ、ロード様」
 と私が返事をしてもロード様は気を悪くするどころか楽しそうに笑うばかり。
「ロード様ぁ〜」
 そこに、ヘロヘロになったジョアンがやって来た。見ると鎧もボロボロになっているではないか!
「どうした、ジョアン……!」
 私が思わず駆けつけるが、ジョアンはなんてことないという様子でこう答えた。
「さっき、サラムに稽古を頼んだんだけど本気でやり返されちゃって……」
「ああ、稽古か……って、寄りにもよってサラムに挑んだのか?」
「うん。憧れの人だからね」
 剣で体を支えながらも、ジョアンは淀みなくそう答える。ジョアン、あんな男が好みだったのか。娘の成長を素直に祝えない父としての気持ちが先に出て、私の心境は複雑だった。
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