第7章 おまけ
「で、どうだったんだ? アルフレッド」
その日の夜。見回りに出ようとしていたところ、私はドロンに呼び止められた。
「どうだったって、何がだ?」
なんの話か分からずドロンを見やると、そこにはタトラーとルドルフもいる。
「とぼけるなよー? 守護騎士さんよ。見たんだろ? ロード様のは・だ・か」
軽い口調でタトラーがそう言い、私は飛び上がる思いだった。
「な、何を言う! 私は何も見ていないぞ!」
「フォッフォッフォッ。そう慌てるということは、見たということかのう?」
私の慌て方があからさまだったのか、タトラーの横で茶化すようにルドルフがそう言った。
「わ、私は見ていない!」
確かに、見えそうだったが!
ロード様は髪の毛が長いからほとんど体は隠れていたし、アテナ像の前にある不思議な色をした水に浸かりながら祈っていたロード様の裸体を見るなんて出来なかったのだ。というか、見ないようにしていたのだが。
「なぁんだ。詳しい話を聞いて詐欺のネタにしてやろうと思ったのに」
私の回答にタトラーはつまらなそうに言ってこの場から立ち去った。というか本人の目の前で詐欺のネタって言うのか、タトラーよ……。
「若いっていいのう。ワシは散々見てきたがの」
一方のルドルフは、嘘か本当かも分からないことを呟いてタトラーとは反対方向へ立ち去って行く。残されたドロンへ私が目を向けると、ドロンは焦ったように手を前に振った。
「俺じゃねーよ、ロード様の裸の話したのは。そもそも俺は人間の裸には興味ないからな」
「私はまだ何も言っていないが……」
「うっ……だけど本当に俺じゃねぇ」
「だとすると……」
「あら、アルフレッド。見回りは行かないの?」
城の方から赤い服装をした女性が出てきた。サラマンダーだ。
「……犯人は君か」
「なんの話かしら?」
ふふっと笑いながら、サラマンダーは私の目の前を堂々と横切って外へ出て行った。彼女も別地区の見回りに向かったのだろう。
「サラマンダー、ますますロード様に似てきた気がするな」
「俺もそう思ったところだ」
ロード様が守る領地にいる女性たちは、皆強い。
おしまい