第5章 道中
「ごめん、故郷にいた仲間と同じようにしてしまって」
「ううん、謝らないで。ただ、びっくりしただけで……」そう言いながらニャオハはぎこちない動きで自分の毛繕いを始めた。「こう、やればいいのかな……?」
「そう、そんな感じ」
そうして、マスカーニャはニャオハに、ニャオハとして、ポケモンとしての動きを自然と教えることになった。
川の渡り方や険しい地形での動き方だけでなく、時には行く手を阻む荒々しい野生のポケモンと闘うための術も身につくように教えて行った。
そうしている間にニャオハはだいぶポケモンらしい動きを学び始め、自分の世話も自分で出来るようになった頃に、ある仲間のポケモンが切り出した。
「僕たち、いつまでポケモントレーナーなしで過ごさなきゃならないんだろう」
ここまで来る道中、ニャオハの記憶の手掛かりになるものが見つかるどころか、ユメの行方が分かるようなものも見つかっていない。それどころか、北へ向かって移動し続けていたのもあり、だんだんと環境が肌寒い地域に差し掛かろうとしていた。