第4章 仲間
マスカーニャはとりあえず、仲間たちがいる洞窟へと案内した。ニャオハは何度もありがとうと感謝してついて来てくれた。
それにしても、とマスカーニャはニャオハを見やる。記憶喪失ならまだしも、元は人間だったと言い出すポケモンに今まで会ったことがあるだろうか。いや、ない。マスカーニャは色々と考えてみたが解決策は何も思いつかないまま、ニャオハを仲間たちと会わせてみた。
仲間たちはユメを失った直後だったというのもあり、ニャオハのことを快く受け入れた。それから誰がともなく一緒に記憶を探そうと言い出した。ニャオハも遠慮がちだったが、最終的にはみんなで記憶探しの旅に出ることに賛成し、そして人間に戻る方法も探すことにした。
仲間たちがこんなにもあっさりと信じ難い話を受け入れたものだが、きっとマスカーニャもみんなも、同じことを考えていたからかもしれない。
このニャオハは、元はユメなのではないか。
だが誰一匹として、その話題は一切口にしなかった。ただ身の上話として、自分たちははぐれたポケモントレーナーを探している、と言っただけで。
ニャオハは自身の記憶がなくて不安なはずだろうに、仲間たちの話をまるで自分のことかのように親身に聞いてくれた。その様子を見て、少なくともマスカーニャは、ますますユメのことを思い出してしまうのだ。
あの日助けてくれたユメのことを……。
思い出して胸がキュッとなると、マスカーニャは一旦皆の元から離れて遠くを見つめる。一匹になると、ますますその寂しさは大きくなり、マスカーニャは自分で思っていた以上に、ユメの存在は大きかったのだと思い知るのだ。