第2章 目指す夢
その後、すっかり元気になったニャオハは、森にいる仲間たちに別れを告げてユメのポケモンになった。
ユメの目標はポケモントレーナーの頂点、チャンピオンになることだ。
ニャオハはユメと共にあちこちへ冒険に出掛け、様々な出会いと別れを繰り返し、時にはポケモンバトルをして強さを高め合った。
そして、絆も深め合って。
いつしかニャオハの夢も、ユメがチャンピオンになることが願いとなっていた。私たちなら行けるよね! ユメは明るく笑うから、本当にチャンピオンになれるんだとニャオハは信じていた。
そうしてニャオハは、ユメと共にポケモンバトルをしている内にニャローテへと進化し、それからマスカーニャへと進化した。
もうニャオハではなくなったマスカーニャは、ユメと一緒に開けた丘でピクニックをしようとしていた。だが天気が急に悪くなり、ユメはポケモンたちをモンスターボールに入れ、マスカーニャには荷物運びとして近くにあった洞窟へ雨宿りに向かった。
「びっくりしたよね〜、さっきまで晴れていたのに」
ユメはマスカーニャにそう話しかけながらピクニックの道具を片付ける。マスカーニャは頷きながら一緒に片付けを手伝っていると、ユメが洞窟の奥で何かを見つけた。
「あれ、なんだろ?」
「……?」
何かを見つけたユメが、そう言って洞窟の奥へ踏み込む。人間であるユメにとっては洞窟は暗く、歩きづらいはずなのに。
マスカーニャはさすがに心配になって後を追いかけようとした時、きゃあ?! という悲鳴が響いた。
マスカーニャは嫌な予感がして走り出した。さっきの声はユメだ。何かあったのなら助けに行かないと、とユメが消えた洞窟の奥へ向かうと……。
そこにあったのはユメの手持ちにあったモンスターボールと荷物だけが散らかっていて、ユメの姿はどこにもなかったのである──。