第14章 それからのこと
それからのことを、マスカーニャたちは見届けなかった。
ニャオハの記憶が戻ったのかどうか分からないまま、マスカーニャたちは来た道を引き返した。ニャオハはあのまま、ニャオハのままユメの母親の元で過ごすかもしれない。だけどあのお母さんは野生のポケモンにもあんなに優しかったのだし、きっと大丈夫だと信じるしかなかった。
帰りながら、といってもどこに帰るかも検討をつけずに、マスカーニャたち一行は自然と、楽しい話をしようということになった。ニャオハの旅は色々あったけど楽しかったとか、あの時出会ったトレーナーがいいヤツだった、とか。
そして、ここがユメの故郷だというのもあり、それぞれ思い出深い場所もちらほらとあった。仲間の中には、ここでユメと出会ったポケモンもいたし、あの広い場所でポケモンバトルをした話をしたポケモンもいた。
「これ、ユメの好きな花だったよね」
花好きのポケモンが、そう言ってマスカーニャに一輪の花を渡してきた。ユメの故郷にしか咲かない小さな白い花だ。マスカーニャはそっと、その花を後ろ髪に結んだ。