• テキストサイズ

ニャオハの夢と願い

第13章 貴方の故郷


「また来たのね、エネコ。お母さんか仲間は近くにいないの?」
 そう言いながらも、女の人は膝をついてエネコの頬を撫でる。どうやら野生のポケモンのようだが、子どものエネコなのであの女の人に懐いているみたいだ。
「これあげるから、いつかちゃんと、仲間のところに行くのよ」
 と言って、女の人は野生のエネコにポケモンフードを与えていた。思えば自分たちも久しく食べていないポケモンフード。マスカーニャはなんだかお腹が空いてきて、ニャオハはどんな気持ちなんだろうとそちらへ目を向けた。
 ニャオハは何も言わず、エネコと仲良くする女の人に目が奪われていた。
 そこでマスカーニャは確信した。やはり、ニャオハはユメなのだ。ニャオハはあの女の人に見覚えがあるはずなのだ。なぜなら女の人は、ユメの母親だからだ。
「よく食べるわねぇ……まるでユメそっくり」自分たちがまさか草むらにいるとは知らない女の人は、エネコにそう話し掛けた。「ユメは私の娘でね、よく食べる子だったのよ」
 だけど今は、あちこち旅に出ているから、ちゃんと食べているのかしら、なんて呟きが、聴覚の高いマスカーニャたちにはよく聞こえて。多分ニャオハも、聞こえているんだと思う。
「お母さん……」
 ニャオハは独り言のようにそう言って草むらからゆっくりと出ていった。止める必要はなかった。ただマスカーニャは、明るい庭へ歩き出すニャオハを見送っただけだ。
「あら、貴方のお仲間?」
 女の人は、そう問い掛けて立ち上がる。女の人はニャオハの方を見ていた。ニャオハはその内走り出し、女の人へ……母親の胸に飛び込んだ。
/ 23ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp