• テキストサイズ

ニャオハの夢と願い

第12章 記憶と願い


「うーん……」
 目が覚めると、マスカーニャは薄暗い洞窟の中にいた。見ると周りには仲間のポケモンたちがいて、ここはどこかと聞くより早く、ニャオハが飛びついてきた。
「マスカーニャ!」
「ニャオハ……」
 ニャオハは泣いていたような気もする。マスカーニャはそんなニャオハを、優しく撫でて呟いた。
「ごめん……」
 すると、ニャオハはマスカーニャの胸の中で何度も首を振った。
「ううん、いいの……私が、記憶を取り戻したいなんて言ったから……」ニャオハは嗚咽を飲みながら話し続けた。「私、もう記憶なんていいから……マスカーニャがいなくなるなんて考えたくないよ……っ」
 ドキリとした。ずっと聞きたかった言葉なのに、素直に喜べない自分がいる。マスカーニャは自分の複雑な心境を言葉に出来ないまま、周りの仲間たちをぐるりと見回した。みんな黙ってマスカーニャを見つめ返すばかりだ。
 マスカーニャは間を置いて、ニャオハを自分から離した。
「俺もだよ、ニャオハ」マスカーニャは自分の気持ちを確かめるように、ゆっくりと言葉を続ける。「だけど……ユメがいないのは、本当は寂しい」
 ずっと、想い続けてきた人なんだ。ずっと、大事にしてきた人なんだ。ずっと、長い旅を一緒にしてきた人なんだ。
 今更、もういなくていいなんて思えない。
 あの時、ニャオハの鼻歌を聴いて気づいたんだ。
 俺たちは、ユメのことが大好きだ。
 だから、ユメかもしれない貴方のことを助けたい。貴方の記憶を探したい。
 それは、もしニャオハがユメじゃなくても同じことだった。
「だから……ごめん……」
 ニャオハがユメになってくれとは言わないから。最初で最後の希望へ。
「ついて来て、くれるかな?」
 マスカーニャはそう問いながらニャオハを見つめた。
 ニャオハはじっとマスカーニャを見つめ、意を決したように頷いた。
「うん、もちろん」
/ 23ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp