第9章 捜索
「ニャオハ〜ニャオハー!」
洞窟の外は、今から雪崩が起こるとは思えない程天気が良くて雪が眩しかった。
だけど今はそれらをゆっくり眺めている場合ではない。マスカーニャと仲間たちは、手分けしてニャオハを捜すことにした。飛行タイプのポケモンは空から、小回りのきく小さなポケモンは他の洞窟から、とにかく思いつく限りのところを隈なく捜した。
こんなことになってしまったのは絶対自分のせいだ。マスカーニャは悔いても悔い切れない程の後悔を抱きながら、とにかくニャオハを捜した。
いつ、雪崩が起きるのだろうか。ポケモンの予知能力が外れたことなんてないけど、どうか外れて欲しいと願うばかりだった。雪崩が起こる前にニャオハが見つからなかったら……。
今は最悪なことを考えるのはやめよう。マスカーニャは何度も何度も恐ろしい考えをしては振り払い、ひたすら自分の体を動かし続けた。ニャオハはまだ小さいから、そんなに遠くに行っていないはず……。
その時、目の前に見覚えのある足跡を見つけた。この辺りの野生ポケモンにしては小さな足跡だ。
マスカーニャは慎重にその足跡を辿ると、次の瞬間歌声が聞こえてきたのである。
「〜♪ 〜〜♪」
鼻歌だったが、それがなんのメロディか、マスカーニャは知っていた。
ユメが歌っていた歌だ。
マスカーニャはゆっくりと声がする方を見上げた。そこには緑の小さなポケモンがいて、遠目から見ると葉っぱの塊にも見えた。
マスカーニャは、声を掛けた。
「ニャオハ」
「……!」
鼻歌が止み、それはこちらを振り向いた。やはりニャオハだった。大きな目に、ふさふさの葉のような毛並み。マスカーニャがよく見た彼女の姿だった。
「マスカーニャ……」
ニャオハは気まずそうに口を開いた。マスカーニャもなんて言ったらいいか分からず俯き、考えてから、これしかないと思った。
「ごめん、ニャオハ。俺……」
ドォオオオ……。
山頂から、轟きのような音が聞こえた──。