第13章 黒猫、揺蕩う
なんだかんだ考えながら返信を済ませ、ソファから立ち上がる。洗濯物や布団を干したり、明日提出の課題なりを終わらせて時計を見ると気が付けば日も暮れていた。19時頃にはこっち戻って来るつってたな…。迎えに行ってやりますか。
冷蔵庫に残ってるモンで適当に自分の夕飯を済ませてからシャワーを浴びて浴槽に湯を張った後に、黒いTシャツとズボンに着替えて家を出た。
東京駅に着くと相変わらず人混みがすげぇな。日曜だからか特に多く感じる。多分こっちの出口から来ると思うんだけど…すれ違ったら笑えるな。
改札前で待つ事数分。ここ2日聞かなかっただけでやけに懐かしく感じる声が聞こえた。
「あれっ!?クロ!?なんでここに居んの!?しかも髪降りてるじゃん、もうシャワーも浴びたの?」
「おー、おかえりお嬢サン。可愛い幼なじみを迎えに来ました。」
は俺の姿を見付けると声を上げて小走りに近付いてきた。それがまぁ仔犬みたいで可愛いのなんの。
「別に家で待っててくれて良かったのに。」
「暗いし危ないでしょうが。それにしても随分荷物増えてんな。」
「バレー部の皆で食べようと思って。後研磨にアップルパイ!明日研磨家に呼んで3人で食べようよ!」
「良いねぇ。で、黒尾さんには?」
「……なんも無い。」
「研磨には有るのに!?」
いや、良いですけどね?研磨にお土産有るなら俺にも、ってちょっとくらい期待したって良いじゃん。けどまぁはそういう奴だよ…。
両手にぶら下がったお土産を代わりに持ち、肩を並べて家に向かう。その間、相変わらずバレーの話が止まらない。
「稲荷崎、めちゃくちゃ強かったよ。多分クロが嫌がるタイプのスパイカーも居た。」
「何、どんな奴?」
「こう……グイッて打つから打点の幅が広くてな、クロス打つかと思ったらストレートバシッと決めて来んねん!後な、アランくんのサーブの威力も半端なくてな!相手吹っ飛ばされてん!」
「お嬢さん、関西弁戻ってますよ〜?」
「おっと…兎に角めちゃくちゃいい感じに仕上がってた!クロ達はどうやって攻略するのかな〜ってワクワクしたよ!」
「お前バレーの話してる時が1番楽しそうね。」
「楽しい!もっと色んな選手見たい!!皆癖もプレイも全部違うんだもん、1人も同じプレイヤーがいない。どこを見ても誰を見ても面白い!」