• テキストサイズ

【HQ】黒猫の足跡

第14章 三毛猫の独白。クロ猫の噛み跡



肩を押し返してもビクともしない。そりゃそうだ、コイツは曲がりなりにも男で、運動部で、主将なのだから。私の力が敵う筈もないのだ。
クロはまるで羞恥心をわざと煽るかのように、ちゅ、と音を立て何度か喉元に吸い付き時折歯を立てて甘く噛む。それに凄く背筋がゾワゾワと震えて変な声が出そうになる。唇を噛んで耐えると、軈て頭が離れた。目が合うとそれはもう、まるで獲物を見据えた獣のようで舌舐りする姿に毛が粟立つ。場所が場所だったらこのまま喰われてたんじゃないかと思う程、瞳は雄弁だった。

「…迷惑は掛けてねぇけども。けど自分に好意が有るかもしれない男の嫉妬煽るとこうなるかも、って位は頭に入れておいてちょーだいよ。」

「さ……最低だぁ…!」

「これでホイホイ男甘やかそうとは思わなくなったデショ?」

「それと引き替えにクロの事ちょっと嫌いになったかもしれない。」

「そんなに嫌だった!?」

「私が夜久ちゃんにあーんするより絶対悪質だと思うんですけど。」

「ぐぬ……!」

「………でもまぁ、分かったよ。クロの前ではもうやらない。」

「俺が見てなくてもやらないで貰えますー?」

「そこまで縛られる謂れは無いね。」

「…手厳しい。」

…まさか、クロがここまでして来るなんて思ってなかった。ドキドキした。恐怖はもちろん有るけど、それ以上に触れる熱全部に心臓が煩く騒いだ。私は多分、この熱を受け留める事になったら沸騰して死ぬんじゃ無いかな……。なんて思いつつこの男から逃げる様に自室まで走った。

*三毛猫の独白。クロ猫の噛み跡*

(……ッぶねぇ!家だったら多分止まんなかったな…。春高終わるまでは何もしねぇって決めてたのに。)

(…何か背筋が、背筋が震える。)
/ 107ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp