第13章 黒猫、揺蕩う
「……え。」
「将来バレー続けそうなヤツと交換してんねん!その方が色んな試合の情報手に入るやんか!!今の内人脈拡げておいた方が絶対お得やで!」
「あ、そういう事ね…。」
「せやからスナリンもバレー辞めんと続けてな!呼ばれれば飛んで見に行くから!」
「いや、まぁ多分辞めないとは思うけど。すごい勢いで人の告白ぶった切るじゃん。」
「好きな人居るよって振ったら諦めるん?」
「いや全然。」
「じゃあ答えるだけ無駄やんか。別に卒業するまでスナリンが他に好きな子ぉ出来たらそっち行ったって良いし。」
「…そう言われると寧ろ絶対コイツ落としてやろうって思うんだよね。」
「……どいつもこいつも面倒くさいわ〜。」
「モテ期で良かったじゃん、羨ましい。」
「括弧笑い、みたいな言い方やめて貰ってえぇ?」
「あーーー!!おったぞツム!!!」
「何してんねんお前ら!駆け落ちなんて許さんぞ!!」
「おっ、バレた。」
「駆け落ちて。」
遠くから聞こえてきた叫び声にスナリンと共に視線を移せばさぞ探し回ったらしい侑と治が指差しこちらに向かって来ていた。咄嗟に手を離しベンチから立ち上がると勢いとノリ任せに侑が飛び付く。
「暑苦しい〜〜。」
「探したんやけど!イキナリ抜け出すのは無しやろ!心配するやんか!」
「抜け駆けとかむっちゃ腹立つんやけど。コイツは俺んやぞ。」
「サムのとちゃうわ俺の彼女や。」
「侑の彼女ともちゃうわ。ごめんって、ちょっと話が有るからって呼ばれただけやねん。ゲーセンの中煩かったやん。」
「どうせ俺らにとっておもんない話やろ。腹立つわ〜。」
「隙を見せる方が悪いでしょ、大事ならもっと自分の目の届く場所に置いておけば?」
「あ?喧嘩なら買ったんぞ角名。」
「喧嘩すんな治!スナリンも喧嘩売んな!!というか私そろそろ東京帰らんと。」
「駅まで送るわ。」
「ええよ、こっから直ぐやし。」
「ギリギリまで一緒に居たいんやて。」
「…じゃあ頼むわ。」
「俺はそろそろマジで双子に噛み付かれそうだからここで。また連絡するよ。」
「おん、スナリンも今日付き合ってくれてありがとね、またインハイで会お!」