第13章 黒猫、揺蕩う
「おま、な……さっきから何…っ!」
「「角名ァ!お前何さらしとんねん!!」」
「オッホホ、そこまで綺麗にハモんの?すげぇ。」
「せやからコイツ連れて来たァ無いねん、ロクな事にならん!」
「ちゅーかさっきって何?さっきなんかしたん?」
「あーあ、騒ぐからバレちゃったじゃん。」
「誰のせいやと思っとん、ほんまに難儀なやっちゃなお前。」
今なら分かる。スナリンとはイタズラ仲間としてやっていけるかと思ってたけど、スナリンにとっては私もイタズラの対象だわ。かなりグイグイ来るあたり正直クロより厄介だし。
食事を終えて店を出る頃にはもうだいぶ時間が経っていた。帰りの新幹線までそこまで時間も無いという事で残りの時間は近くのゲームセンターで潰す事になり適当に入る。
太鼓の音ゲーやって、2対2でエアホッケーやって遊びまくりつつ、UFOキャッチャーを見て回るとゆるキャラみたいなユルユルな見た目の動物マスコットがあった。沢山積み重なってて、手前にギザギザした柵が着いているタイプだ。
「おっ、コレ手前のキツネ直ぐ取れそう。やるからちょい待って!」
「えー、お前UFOキャッチャーめっちゃ下手くそやん。」
「俺隣のやったるわ、どっちが先取れるか勝負な!」
「望むところや!」
2台分に拡がった筐体に私と侑はそれぞれお金を入れてチャレンジする。ふふん、流石にこれはイージーゲームやで。
そう意気込んで数分、全然取れん。頭狙おうが尻尾狙おうが動かん。なんやねんこれ。
「と、取れん……!」
「侑はそろそろ落ちそうだね。」
「おっ、治!メンバーチェンジ!」
「フッフ、任しとき。」
「あっ、セコいで下手くそ!」
「うるさい、お前の方がアーム強いんとちゃう!?」
「一緒やアホ!」
それから程なくして侑と治は殆ど同時にマスコットを落とした。顔はそっくり、色違いのキツネだ。2人してそれを得意げに見せて来る。
「狐も可愛ええなぁ。顔似てるし侑と治みたいやん。」
「ほんまやな。これにやるわ。」
「俺のもやるわ!俺らやと思って毎日カバンにつけたって。」
「ええの?ありがとう!」
それぞれから差し出されたマスコットを両手で受け取る。普通に可愛い。やっぱり動物って良いなぁ。
「おっ、ツム、バスケのヤツやろうや!」