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【HQ】黒猫の足跡

第12章 黒猫、狐に逢う



いやぁ、扱いやすくて助かる〜。知らん女に子供の頃の写真勝手に送るのは若干気が引けなくも無いけど、絡まれた原因も元を辿れば双子のせいだし気にせず3人と連絡先だけ交換した。
ホクホクとした顔で3人は稲荷崎のコート側に立ち、私はネットの丁度上にあたる位置に移動する。ここが1番均等にボールの流れが見えるから好きだ。

「スターティングは…おぉ、スナリンもスタメンか。エースはアランくんかな。」

インハイの試合でもスナリンは出ていたのは知ってる。元々センスの塊って感じだったもんなぁ…。アランくんは木兎に引けを取らない位、パワーが高い。それにレシーブもちゃんと上手い。正にエースって感じだ。

「いやぁ、楽しみだなぁ!」

試合開始の笛が鳴った。
稲荷崎のバレーは音駒とは対称的。個々のサーブが強く、サービスエースを取れるポテンシャルも有る。侑と治のコンビネーションもかなりエグい。たとえサーブで侑を牽制しても治が補完出来てしまうし、侑自身スパイクもちゃんと上手い。護り粘る音駒と比べると圧倒的に押せ押せのパワータイプだと思う。ガンガン決まる攻撃は見てて気持ち良い。
痺れ沸き立つ感情を押し殺しながら音駒でやっている時と同じ様にノートに試合の流れ、誰が得点を入れているのか、逆に誰にどう点を取られたのか、事細かに手早くメモに取る。そうこうしている内にあっという間に時間は流れ、4セット終わった所で練習試合は終わった。4-0の圧勝。流石は全国常連チーム。兵庫で張り合えるチーム他に有るのかな。

「お疲れ、2人ともめちゃくちゃ上手くなったなぁ。侑のセット綺麗過ぎてビビったわ。」

「フッフ、せやろ!!もっと褒めてええんやで!」

「なぁ、お前試合始まる前ウチの生徒に絡まれとらんかった?」

「絡まれたから治と侑の幼少期の写真送って黙らせたった!」

「ぶはっ!!」

相手校が帰った後、自主練まで終えて漸く帰り支度を済ませた双子と合流する。聞かれた事に嘘のひとつも混ぜずに答えれば一緒に着いてきたスナリンが吹き出す声が聞こえて来た。

「プライバシーって知っとる?」

「何言ってんの、侑と治のせいで喧嘩売られたんやぞ。」

「それはスマンと思っとる。」

「それよりスナリンもインハイぶりだね、相変わらずスパイク超上手いな!体幹えぐいよ、どない身体しとん。」
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