第12章 黒猫、狐に逢う
「ほれほれハイタッチ!」
「ツム、それもうやったわ。」
「なぬッ!?お前狡いぞ!」
「考えること一緒なのおもろ過ぎるやろ。流石双子。」
「嬉し無いんやけどー!!」
大袈裟なリアクションでギャンギャン騒ぎ立てる侑。そんな彼を見てコートに立っていた銀髪の男が静かに歩み寄って来た。ちょい背は低めかな。というか無表情過ぎて怖っ!
「いつまで遊んでんねん。アップの時間なん忘れとるんか?」
「「!!」」
ビクーッ、と双子の肩が上がった。…おお、この2人のリードを握れるとは中々……、あれ。1番ユニ着てる。
「稲荷崎の主将か!!」
「おん、北信介や。ジブン、インハイ来とったやろ。侑と治の幼なじみなんやっけ。」
「はい、音駒高校のです、よろしく!」
「よろしゅう。戻るで侑、治。」
「、進化した俺をよう見ときや!サムの事は別に見んでもええからな!」
「なんでやねん。」
北さんは無表情のままぺこりと頭を下げる。侑は治の肩を組み私をビシッと指差してからコートの中へ向かう。双子に挟まれた彼は背の割にすごく堂々としていて大きく見えたしカッコイイなと思った。
私は3人の背中を見送ってからギャラリーへ足を運ぶ。宮兄弟と親しく話してる所を見てか、周りの女がコソコソと話してるのと喧しい位の視線が刺さるのを感じる。ま、他校やし気にせんけど。
鞄からノートとペンを取り出し柵に腕を掛けてお互いの選手達を見下ろす。
「あのー…。」
「……え、私?」
いやいやいや、絡んで来るんかい。そんなに?そんな私がアイツらと仲良いとダメ?
まさかそこまでとは思わず、声を掛けて来たいかにもギャルって感じの金髪の女の子とその周りに居る2人に目を向ける。
「稲荷崎の人とちゃうよな?何で宮くん達と仲良いん?」
「幼稚園からの幼なじみ。」
「はぁー!?むっちゃ羨ましいねんけど!」
「せやろ。試合終わるまで私の事ほっといてくれたら双子の小学生の時の写真見せたるよ。」
「ほんまに!?………んんッ…ならしゃーないわ。」
「ウチも見たぁい、送ってやー。」
「私もー!」
「じゃあ連絡先だけ教えてや、送ったら消してえぇから。」