第11章 黒猫、嫉妬する
「本当巻き込まれ体質だよなぁ〜、って。」
「髪染めてるからチャラいと思われてんのかな。」
「髪色的にも口調的にもは大人しそうには見えないよ。」
「音駒のジャージカラーで気に入ってるのに…。」
黒に濃いめの赤だからそんなに目立たないと思うんだけどなぁ。
毛先を指にくるくると巻き付け唇を尖らせる。するとそれを見ていた夜久ちゃんが不意に口を開いた。
「なぁ、他に何処の学校見に行ったんだ?」
「白鳥沢と伊達工。白鳥沢は本当に癖強い選手ばっかりだったな。伊達工はブロック凄かったよ、噂通りだね。」
「へー、よく学校入れて貰えたな。特に白鳥沢なんて厳しそうなのに。」
「事前に連絡入れてたから。転校考えてますって嘘ついたけど。」
「嘘ついたのかよ。」
「ぶっひゃひゃひゃ!やるねぇ〜!」
「うるせぇ笑うなク」「黒尾先輩!!」
腹を抱えて笑うクロに文句を言おうとした刹那、自分の声に知らない声が重なる。後ろを振り返ると黒いロングヘアの女の子が立っていいた。多分、後輩であろう彼女は緊張した面持ちでクロを見ている。これは流石に察した。恋する女の子の目だ。
「何?俺に用事?」
「あの…少しだけお時間良いですか?出来れば、その…別の場所で……。」
「あー…ウン、じゃあ向こう行くか。もう昼休み終わるし俺このまま教室戻るわ。」
「おー。」
「行ってらっしゃい。」
「………。」
クロは立ち上がると女の子を連れて行ってしまった。結構美人系だったな。アイツが好きそうなタイプ。
そう思ったら言葉が直ぐに出て来なくてつい顔を背けてしまった。
「今の子可愛かったなー。というか黒尾が呼び出されて不機嫌になるの珍しいじゃん、もしかして拗ねてんの?」
「拗ねてないよ。クロが地味にモテるのは知ってるし。」
「もし黒尾がさっきの子と付き合ったらどうする?」
「海くんまで変な事言うじゃん…。別に、どうもしないよ。おめでとうってだけ。」
「顔にはめちゃくちゃ嫌って書いて有るぞ。」
ケラケラと笑う夜久ちゃん。そんな顔してないと思うんですけど。
無性にイライラして持っていたミルクティーの紙パックに思い切りストローを刺して一気に吸い込む。