第9章 黒猫の笑い声
「だから積極的にしょぼくれさせていきたいよね。頑張れクロ、夜久ちゃん。」
「当然だ、公式試合でぶち当たったら今度は絶対俺たちが勝つ。」
「レシーブなら任せろ!」
「夜っくんのレシーブはマジですげーからなー。コレは絶対決まった!ってヤツでも上げて来るから腹立つぜ〜。」
「木兎さん、コースバレバレな時ありますからね。」
「あかーしちょっとは俺のフォローして!」
食べ終わり、会計も済ませ店の外に出た。欲しいものは私の髪ゴムと、スポーツ用品。スポーツ用品はモチロン部費から出るわけだけど、その経費の管理は私の担当だから好き勝手に買うわけにもいかない。まぁ、文化祭で稼ぐ気満々だけどね。
「よーし、髪ゴム買いに行くぞ!」
「まずそれなのな。」
「だって下ろしてるの落ち着かないし!」
「似合ってますよ?下ろしてるのも。」
「赤葦くん急にそういうの辞めて、照れるから。」
「おい俺と黒尾が褒めても微妙そうな顔だったじゃんよ!」
「それはそれ、これはこれー。近くのベンチで待っててよ、でかい男がぞろぞろ可愛い店入ってきたら邪魔だからな!」
「言われなくても入れねーって。」
アクセサリーショップ特有の可愛らしい雰囲気と、女の子しかいない空間はやっぱり男からしても入りにくい場所らしい。彼女とか出来たらどうすんのかねコイツら。プレゼントとか買えないんじゃないの?
フックに吊るされたバリエーション豊かな髪ゴム。まぁ私はシンプルなやつでイイんだけど。今回失くした事もあり、念の為4つ髪ゴムを選びレジで会計をパパッと済ませる。
戻ると、クロだけが居なかった。
「クロは?」
「トイレだって。」
「ふーん?」
「なー、どんなの買ったの?可愛いの?」
「いやいつもの赤いゴム。」
「えー!?折角あんな可愛い店行ったのに味気ねーなー。」
「木兎に味気ないとか言われると傷つく…。」
「可愛いのたまにはつければイイじゃん!リボンとか!」
「リボンが許されるのは可愛い女の子だけなんですよー。」
「、目が笑ってねーぞ。」
夜久ちゃんの掌が頭に置かれ、くしゃりと撫でられた。別に怒ってないけどね。可愛いかっこして、また女の子にあーだこーだ言われるのなんて面倒くさい、真っ平だ。誰だって避けられるものは避けたい。
「悪ィ、お待たせ。」